ハワイでは興味深い天文現象が年2回観測されます。
5月と7月の夏至の前後に、太陽が真上を通過する「ラハイナ・ヌーン」と呼ばれる現象が起きるのです。
この言葉の「ラハイナ」は、マウイ島の町の名前でもありますが、ハワイ語で「残酷な太陽」や「残酷なまでに暑い灼熱の太陽」を意味し、まさに空からの強烈な日差しを表現した言葉といえるでしょう。

日本語にすると「灼熱の太陽が最高点に達する昼」という感じでしょうか。
一方、日本では真夏であっても、地理的な位置関係により太陽が完全に真上に来ることはないので、ラハイナヌーンは体験できません。
私は以前、ハワイ旅行中に「ラハイナ・ヌーン」を体験する機会に恵まれました。
そこで、太陽が真上を通過する際に起こる興味深い現象について、詳しく見ていきましょう。
ラハイナ・ヌーンとは
1990年、ビショップ博物館ではこの現象に名前をつけるコンテストを開催しました。
そして、そのコンテストで優勝した名前が「lāhainā noon」。それから「ラハイナ・ヌーン」と呼ばれるようになりました。
ラハイナ・ヌーンと呼ばれる前は、ハワイ語でこの現象を表す古い言葉に「kau ka lā i ka lolo」がありました。これは「太陽が脳の上で休んでいる」というような意味になります。
これは太陽が真上にあって、影が体の中に引っ込む正午を指しているからですね。
ラハイナ・ヌーンの現象
太陽が真上にくると、地面に垂直に立っているものには影ができません。
▼実際の映像をご覧ください。(中央の鉄柱の影に注目!)
ラハイナ・ヌーンはなぜおこる?
地球は太陽の周りを公転します。そのとき地球の軸が23.4度傾いてます。この傾きがあるから季節がありますね。
そして、この傾きのため太陽が真上を通過する地域があり、ラハイナ・ヌーンを体験できる地域(下図の地球の黄色部分)です。

この地域は、北回帰線と南回帰線の間の赤道を挟む熱帯地域で、ハワイはこの地域にあります。
- 太陽が垂直に当たる最北:北回帰線
- 太陽が垂直に当たる最南:南回帰線
ハワイはアメリカ唯一の熱帯地域に位置する、ラハイナ・ヌーンが見られる州です。
太陽が北回帰線の真上にくるのは6月の夏至の時で、南回帰線の真上にくるのは12月の冬至の時です。
日本は北回帰線よりも北に位置しているため、夏至の日でも太陽が頭の真上を通らないことがわかります。
2025年ハワイのラハイナ・ヌーンの日時
年に2回のラハイナ・ヌーンは、1回目は5月の「Spring Lahaina Noon(春のラハイナ・ヌーン)」、2回目は7月の「Summer Lahaina Noon(夏のラハイナ・ヌーン)」と呼ばれます。
5月に最南端のハワイ島から始まり、ハワイ諸島を北上していきます。7月は逆に北から南へ移動し、ラハイナ・ヌーンの日時は緯度によって異なります。
ハワイ島からカウアイ島にかけての日付、時間、場所を以下に紹介します。
※時刻はハワイ時間(HT)
場所 | 春のラハイナ・ヌーン日時 | 夏のラハイナ・ヌーン日時 |
---|---|---|
サウスポイント(ハワイ島) | 5月14日12:19 p.m. | 7月27日 12:29 p.m. |
カイルア・コナ(ハワイ島) | 5月17日12:20 p.m. | 7月24日 12:30 p.m. |
ヒロ(ハワイ島) | 5月18日12:16 p.m. | 7月24日 12:26 p.m. |
ワイメア(ハワイ島) | 5月19日 12:19 p.m. | 7月22日 12:29 p.m. |
ハナ(マウイ島) | 5月23日 12:20 p.m. | 7月18日 12:30 p.m. |
ラナイ・シティ(ラナイ島) | 5月24日 12:23 p.m. | 7月18日 12:34 p.m. |
ラハイナ(マウイ島) | 5月25日 12:23 p.m. | 7月18日 12:33 p.m. |
カフルイ(マウイ島) | 5月24日 12:23 p.m. | 7月18日 12:32 p.m. |
カウナカカイ(モロカイ島) | 5月25日 12:25 p.m. | 7月17日 12:34 p.m. |
ホノルル(オアフ島) | 5月26日 12:28 p.m. | 7月15日 12:37 p.m. |
カネオヘ(オアフ島) | 5月27日 12:28 p.m. | 7月15日 12:37 p.m. |
ハレイワ(オアフ島) | 5月28日 12:29 p.m. | 7月13日 12:38 p.m. |
リフエ(カウアイ島) | 5月30日 12:35 p.m. | 7月11日 12:42 p.m. |
参照:BISHOP MUSEUM
ラハイナ・ヌーン観測におすすめのスポット
ハワイでラハイナ・ヌーンを体験するのに、有名なスポットがあります。
オアフ島イオラニ宮殿の近くにある、有名な日系アメリカ人の彫刻家「イサムノグチ」によって創られた「スカイゲート」です。ラハイナ・ヌーンを意識して創られました。
このグネグネと曲がりくねったリングのオブジェの影は、普段はグネグネと曲がった影をしていますが、ラハイナ・ヌーンの時は真上を太陽が通るので完全な円の影になります。
ビーチで観測するのもおすすめですよ。

影が無いビーチってどんな感じになるのでしょう。
ハワイ島でのラハイナ・ヌーン体験記
ハワイ島への旅行の時に、偶然にもハワイ島コナ到着日がラハイナ・ヌーンであることを出発前に知り大喜び!
カイルア・コナでのラハイナ・ヌーン時刻が12:20p.m.で、私たちの飛行機はこの時刻よりも、2時間遅れて到着する予定です。
ラハイナ・ヌーンにぴったりの時刻でなくても、なんとなく真上の太陽を感じられるのではないかと期待し、はりきって日本から方位磁石を持って出発。
ラハイナ・ヌーンよりも2時間後ということは、北から太陽が差して南に影が出来るはず。これは、日本では絶対に起こらない現象です。

ところが、飛行機が予定よりも数十分遅れてコナに到着。
空港を出て、さっそく方位磁石を足元に置いて影の向きを見ます。

写真の左上のグリーンのフェンスの影が南側にできてますよね?
ラハイナ・ヌーンの時刻を数時間過ぎているので、影は大分長くなってしまいました。
さいごに
日本では体験できないラハイナ・ヌーンですが、太陽がギラギラ照りつけてめちゃくちゃ暑くなったりすることはありません。
どういう事象が起きるのかを知ると、実際に体験してみたくなりますね。
年に2回のラハイナ・ヌーンのチャンスを狙ってハワイに滞在し、影の動きをじっくりと確かめてみる旅はいかがでしょうか。
気候もとても良いシーズンです。
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