イオラニとはハワイ語で「王室の鷹」の意味。
イオラニ宮殿はハワイ王国王族最後の公邸で、ハワイ王朝全盛期から終焉までを象徴する建造物です。
宮殿内を見学すると日本の品をはじめ、世界各国の特徴的な品が目に入り、当時からハワイがいかに国際的で、ヨーロッパ、日本をはじめとするアジアとつながっているのかが感じられます。
君主制が倒れてから、共和国政府、ハワイ州準政府と、様々な政府が宮殿を占拠していきました。
第二次世界大戦には軍政府が、占領していたこともありました。
1959年に米国50番目の州「ハワイ州」になってからは、州政府が州知事とともに宮殿に移り、州政府完成までオフィスとしても利用していました。
ハワイ史の中で激動の場所
そんなハワイの歴史の流れをイオラニ宮殿で垣間見ることができる由緒正しいところです。
イオラニ宮殿敷地内の見学は自由。
宮殿内の見学をしたい人はツアーに申し込みが必要になります。
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イオラニ宮殿の場所と行き方
イオラニ宮殿への行き方はトロリーで
・カメハメハ大王像 停留所
・ハワイ州政府庁舎 停留所
のどちらかで下車。
カメハメハ大王像停留所からは、カメハメハ大王像のちょうど向かい側にイオラニ宮殿があります。
ハワイ州庁舎停留所からは州庁舎の建物を抜けた裏側にあります。
イオラニ宮殿とは
イオラニ宮殿は米国唯一の王族の公邸です。
デビット・カラカウア王のもとに1882年に宮殿は完成しました。
ハワイには宮殿は3つありますが、王宮はイオラニ宮殿です。避暑地として、ハワイ島コナの「フリへエ宮殿」、オアフ島ヌウアヌ渓谷の「クイーン・エマ・サマー・パレス」があります。
ハワイ王国紋章
イオラニ宮殿の門には、ハワイ王国の紋章が飾られています。この紋章はカメハメハ三世時代にデザインされたものです。
下の方には、ハワイ語で「UA MAU KE EA O KA AINA I KA PONO」すなわち「土地の命は正義とともに永遠に生き続ける」というモットーが刻まれています。
» 【参考】「ハワイ州の25セント硬貨」にもハワイ州のモットーが
二人のハワイアンは、カメハメハ大王の双子の叔父でカメハメハ大王の相談役だった、カメエイアモクとカマナワです。
王冠にはタロイモの葉が8枚、ハワイ諸島の数を現す8本のストライプ、ハワイには意味深い「8」が象徴されています。
歴史的背景
ハワイ王国の後期
もともとはカメハメハ三世がここに公邸を建て、ハワイ王族もこの地に住んでいました。
最初に建てられた宮殿はシロアリの被害によって損壊し、現在のイオラニ宮殿は1882年に石造りの建物としてカラカウア王によって完成されたものです。
宮殿の建て替えの最中、カラカウア王は砂糖農園での労働力を確保するために移民の調査として世界一周の旅に出かけ、各地で見たものに影響をうけました。
とても国際的であった様子が宮殿内に置かれているアジアやヨーロッパ各国からの装飾品からもうかがえます。
ハワイ王国は砂糖産業で益々反映していくのですが、これが王国を揺るがす結果となってしまうのです。
経済界ではますます西欧人の権力が強まり、ついにはカラカウア王は権力を制限されてしまいます。
その後カラカウア王は体調を崩して亡くなり、急遽、妹のリリウオカラニが八代目の女王になります。
激動の時代のハワイ王国最後の女王です。
ハワイ共和国から米国へ
1893年リリウオカラニ女王は、権力のある西欧人からハワイアンの人権を確保しようと試みますが阻止され、王権を放棄せざるを得なくなりました。
このときに、暫定政府が樹立します。
宮殿は政府の議事堂、行政オフィスへと改装され、リリウオカラニ女王はワシントン・プレイスに住まいを移すことに。
当時の24代目米国大統領は、就任したばかりの民主党クリーブランド大統領で「ハワイは女王に返還すべき」とし、暫定政府も支持しない姿勢をとりました。
そこで、暫定政府は次の大統領就任までは米国へ併合することをあきらめ、暫定政府を再編成して「ハワイ共和国」の樹立へと方向転換をします。
1895年、王政復古をもとめる武装発起が起きます。リリウオカラニ女王邸宅の庭から武器が発見されたことから、リリウオカラニ女王はハワイ共和国政府に逮捕され、イオラニ宮殿に約8ヶ月間も幽閉されてしまうのです。
ちなみに、幽閉されていた部屋は宮殿を正面から見て2階の右側の部屋です。
リリウオカラニ女王は1895年9月に釈放され、再びワシントンプレイスに戻り余生をここで過ごします。
1897年、次の25代目の米国大統領である共和党マッキンリーは、ハワイ諸島の存在に戦争での有用性を見出し、ハワイを合衆国に併合することを承認。
1900年正式にハワイはアメリカ合衆国の一部となりました。
» リリウオカラニ女王像はこちら
» ワシントンプレイスはこちら
建物
建築スタイルは「アメリカン・フローレンス様式」と呼ばれます。
特徴は、がっしりした張り出し、奥行きの広いベランダ、高い天井、たくさんの出入り口と窓です。
電話、電飾、水洗トイレ、水と湯の出るシャワー、食事用のエレベーター(パントリー)と、掘り抜き井戸から引いた水を使用するなど、ハワイでははじめてづくしのモダンな設備。電灯はホワイトハウスやバッキンガム宮殿よりも早く備えつけられました。
現在は、国定歴史建造物に指定されています。
ハワイ王国時代の栄光であった当時の宮殿の姿に歳月をかけて修復され、オークションに出品されて世界中にバラバラになってしまった5000品以上の王家の遺産を探し、宮殿に取り戻して展示されています。
イオラニ宮殿見学ツアー
イオラニ宮殿の内部に入れることができるのはツアーだけです。
宮殿内の当時の部屋を歩くと外からではわからないハワイ王朝の盛大さとカラカウア王のモダンさを感じることができます。
宮殿内の装飾品の復元には専門の職人を雇い、遺産である家具や調度品を収集して宮殿に戻し、大規模な修繕により復元されました。カラカウア大王のベッドは未だに見つからず複製が。
ツアーは2種類あり、どちらも事前に申し込みが必要です。
日本語オーディオガイドツアー
日本語のガイダンス(音声)が流れるヘッドセットをつけて、自分のペースで宮殿内を見学するツアー。録音されたガイダンスは合計45分。ツアーは10分ごとに催行しており申し込みが必要です。
時間:月:9:00~16:00時、火・水・木:10:30分~16:00、金・土:12:00~16:00に10分間隔
申込方法:オンライン予約か、敷地内のイオラニ・バラックスにて申し込み。
料金:大人:20ドル 子供(5~12歳):6ドル ※4歳以下の子供は無料で入館できますが抱っこひもで前に抱っこするか、宮殿側で用意されたベビーカーを使用しての見学になります。
日本語ガイドツアー
イオラニ宮殿のドーセント(ガイドさん)が館内を案内してくれるツアー。英語のツアーの他に日本人ドーセントが担当する日は日本語で説明を聞くことができます(約60分)。事前に予約が必要です。
日本語ツアー時間:月・火・水・金 11:30分~
申込方法:オンライン予約か、敷地内のイオラニ・バラックスにて申し込み。
料金:大人:27ドル 子供:6ドル ※4歳以下の子供は無料で入館できますが抱っこひもで前に抱っこするか、宮殿側で用意されたベビーカーを使用しての見学になります。
※当日ガイドさんの都合がつかずにオーディオガイドツアーに変更されることがあります(ガイドさんはありがたいボランティアです)。
日本語オーディオガイドツアーに参加しました。
イオラニ宮殿の日本語オーディオガイドツアー参加!美しい調度品と最先端技術の宮殿に感動戴冠式パビリオン
戴冠式パビリオンは八角形の造りで、先端が細くなる8本の円柱が屋根をささえています。ここにも「8」という数がいかされています。
カラカウア王は王位に就いてからも、新しい宮殿が完成するまでは戴冠式を延期しました。そして戴冠式では、カラカウア王が自ら王冠をかぶり、カピオラニ王妃の頭上にも小さな王冠をのせたというちょっと珍しい戴冠式となります。
もともと戴冠式パビリオンは、イオラニ宮殿の正面1階のベランダに橋でつながっており、その三方を屋根付きの何千人もの観覧席が取り囲む円形劇場でした。
戴冠式後、パビリオンは移動します。戴冠式パビリオンとカラカウア王
同じ角度から現在の写真 ↓ ↓ ↓
現在もそのままの位置です。
親交のあった国の国旗が飾られています。日本の国旗もありますね。そして、パビリオンの屋根の内側には王家の紋章が。
↓ ↓ ↓
イオラニ・バラックス
宮殿の隣にイオラニ・バラックスという宮殿内見学のチケット販売や、売店、トイレがあります。
この建物は、パッと見、中世ヨーロッパのように見えますね。
売店の中です。ここでしか手に入らないであろうレアなものがたくさんあります。
リリウオカラニ女王のTシャツ。
「ハワイ語の辞書」と「日本語版イオラニ宮殿ガイドブック」を購入。
もっと分厚くて大きなハワイ語の辞書もあったのですが、この後観光に持って歩くには重たく大きすぎたのであきらめました。かなりお手頃価格だったのでちょっと残念。
ここにはハワイ歴史関連の書籍も多くお買い得です。
Hawaiian Sunの缶ジュースが隙間なくきれーに並んでいました。一番下の棚のペットボトルはイオラニ宮殿のオリジナルウォーター。このウォーターが素敵なんです。
ペットボトルのデザインが、イオラニ宮殿の壁と同じような凹凸模様なんです。
これを見かけるとつい手を伸ばしてしまうスーベニア・ペニー。
1セントがカメハメハ大王になりました。スーベニア・ペニーって何?という方はこちらの記事をご覧ください。
硬貨を押し潰して加工する?!スーベニアペニーイオラニ宮殿からのダウンタウン方面の景色
キナウ門
州庁舎やセント・アンドリュース大聖堂を見学した後にイオラニ宮殿に来るときは、ダウンタウン側の門から入ると便利です。「キナウ門」という名前がついています。
カメハメハ大王の娘であり、カメハメハ四世とカメハメハ五世の母でもあるキナウの住居があったことから名付けられた門で、キナウ門は商人や市民の出入りに使われていました。
人気のフードトラック【番外編】
キナウ門から道路をはさんだ向こう側に人だかりのフードトラックが。
SERG’Sというメキシコ料理屋さんで、ロコにとても人気だそうです。ロコが行列をつくるお店は美味しいにきまっている(私の確信)!食べてみたい方はイオラニ観光の帰りにぜひどうぞ。
» Serg’s has a food truck
ロイヤル・ハワイアンバンド
アメリカで最も歴史のある楽団「ロイヤルハワイアンバンド」は、カメハメハ三世が編成した楽団です。
毎週金曜日12:00~13:00にはイオラニ宮殿の中庭で演奏を聴くことができます。
歴史ある場所で歴史ある楽団の演奏はそれはすばらしいものです。感動!
生演奏は本当におすすめ
ロイヤルハワイアンバンドの演奏は歴史の音色|イオラニ宮殿にて本当に素晴らしい演奏です。
まとめ
イオラニ宮殿はカラカウア王が建てた建造物ですが、宮殿内を見学するとハワイ諸島を統一し王国を建国したカメハメハ大王から、最後のリリウオカラニ女王までハワイ王国について知ることができます。
特にハワイ王朝最後、19世紀のハワイに近代化をもたらしたカラカウア王家について深く学ぶことができ、当時からハワイと日本は親密な関係にあったことを感じることができるでしょう。
そして、新しいものは積極的に取り入れ、近代的な王国であったことに驚きました。
史跡が集まるダウンタウン観光の中でも、ハワイの歴史を垣間見るにはおすすめの観光スポットです。
364 S King St, Honolulu, HI 96813
トロリーでハワイ州庁舎か、カメハメハ大王像前で下車。
開館時間:月~土 9:00-16:00 日曜・祝日は休み
(808) 522-0832
https://www.iolanipalace.org/