マウイ島のイアオ渓谷は針(ニードル)のような奇岩をはじめ、山に囲まれた一種独特な雰囲気のダイナミックな景観。青い空に明るく太陽の光がサンサンと降り注ぐハワイのイメージとはちょっと違います。重たい雲が立ち込める方が似合う感じ。
ここは、ハワイでは2番目に雨の多い地域で、午後になると雲や霧が立ち込め独特の雰囲気になります。
『トム・ソーヤーの冒険』の著者マーク・トゥエインは、イアオ渓谷を「太平洋のヨセミテ」と称しています。本物のヨセミテを観たことはありませんが、ちょっとスケールが違うような気も。ここに観光客がこんなにたくさん来てザワザワしていることが意外でした。ほとんどアメリカ本土からの観光客と思われます。
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神聖な場所
「イアオ」とはハワイ語で光の神の名。「木星」も意味するそうで、ハレアカラの「太陽が住む家」に対し「月の住む家」とも言われています。
昔から神聖な場所とされ、王族など高貴な身分の人達が亡くなると、遺体をこの山の頂上に隠したと言われています。天国からのお迎えのために山の頂上という近い場所が選ばれたようです。
脇を流れるイアオ川で泳いでいる外国人観光客の人もいます。大勢の観光客がゾロゾロと歩く前で、川で水遊びをしている姿は、ほぼ見世物状態。実に勇気のいる行動です。水がかなり冷たそう。
川の周辺には熱帯植物などが植えられてちょっとした植物園になっていて、お散歩も楽しめます。
これは桜?
イアオ・ニードルの伝説
昔「マウイ」という神様がいました。マウイにはそれはそれは可愛いがっている美しい娘「イアオ」がいました。
マウイはイアオは立派な王としか結婚をさせない!とするのですが、イアオは半魚人の神「プウオカモア」と恋におちてしまいます。それを知り怒ったマウイはプウオカモアを殺そうとするのですが、イアオが愛する人を助けて欲しいと命乞いをします。
マウイは、命を助けてあげる変わりにプウオカモアを岩に変えていつでも見られるようにし、その岩がイアオ・ニードルと呼ばれるようになったのでした。
歴史上でも悲劇が
1790年、カメハメハ大王がマウイに上陸しこのイアオ渓谷でマウイ軍と決戦となりました。
結果は、近代兵器とイギリス顧問を備えていたカメハメハ軍の大勝利。
イアオ渓谷の川の流れは、両軍の兵士の死体でせきとめられ、川の水は真っ赤に染まったと言われ、カメハメハ大王の領土拡大の戦いの中でも最も悲惨な戦いと言われています。
スピリチュアルカウンセラーの江原啓之さんも、ここはエネルギーを感じると著書に記し、「イアオ」はパワースポットとしても有名になりました。
なんだか居心地が悪く、長居したくない気分がして、とっとと出発してしまいました。山に囲まれここだけは他と違う独特な雰囲気が漂っています。